徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 南下工作団卒業記念章

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これも私にとっては懐かしいバッジのひとつ。北京の骨董店で見つけて、予備知識は全くなかったものの、独特の雰囲気に惹かれて買った。もうずいぶん前のことになるなー。
値段は日本円で3千円強、思ったよりも高かったので一瞬購入を迷ったが、帰国も迫っているのでとりあえず買っておこうということにした。今ではとてもこんな値段では買えなくなってしまった

とにかく大胆なデザインである。大きな赤星の中央に、たいまつを掲げた人物がシルエットで描かれている。南下工作団とやらの卒業記念バッジである。裏面には「四野 1949.8」という文字と、シリアルナンバーが刻印されている。
1949年8月は国共内戦期だ。ということで、「四野」が人民解放軍第四野戦軍(東北野戦軍)を指すことは想像できたが、さて、南下工作団とはなにか。

1949年、国民党軍との内戦で、節目となった遼瀋、平津、淮海の三大戦役に勝利後、東北地方で組織された第四野戦軍は、北平(北京)や天津などで、知識青年を訓練・組織し、幹部として長江以南の解放戦争に参加させたのである。革命の情熱に燃えた多くの大学生や卒業生が、こぞって募集に応募したという。
これが南下工作団(南工団)である。「打倒蒋介石、全中国解放」のスローガンのもと、南下工作団員は解放軍とともに各地で軍、党、地方政府の活動に従事することとなった。

このバッジでは人物が緑色のシルエットで描かれているが、軍服の色を表現しているつもりではないかと思っている。
たいまつはもちろん革命の象徴。たいまつを掲げる青年というのは、五四運動以来のモチーフかもしれない。このバッジの場合、このたいまつの部分がちょうど細くなっているため、残念ながらここが非常に折れ曲がりやすい。たいまつや柄の部分の七宝が剥落しているモノを見たことがある。
ラッキーなことに、この一枚はわずかにその部分が曲がっている他は、七宝もメッキも完全でサビもなく、非常に保存状態がよい。こんなにきれいな南工団バッジは、いまだ他に見たことがない。

一種独特な持つバッジだが、内戦期共産党軍製バッジの雰囲気がよく伝わる一枚で、それだけにコレクター人気も高い。私の見る目も、そうは間違ってはいなかったというわけだ。