徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

アメリカ ノースプロップN-9M爆撃機バッジ

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今年2007年6月、東京某所で行われたイベントの一幕でささやかに祝われたのが、「UFO還暦記念」であった。
赤いちゃんちゃんこを着たグレイ型宇宙人と「Happy birthday to UFO~♪」って、バカだね、どうも(笑)。

20世紀後半、世界中に大ブームを巻き起こしたUFO騒動。その発端となったのがいわゆる「ケネス・アーノルド事件」。時は1947年6月24日、所はアメリワシントン州。そう、60年前のできごとである。

実業家ケネス・アーノルド氏が、自家用機で飛行中、謎の9つの光る物体と遭遇した・・・というのがすべての始まり。これがマスコミに取り上げられたのをきっかけに、「ロズウェル事件」「マンテル大尉事件」などの今なお有名な事件が相次いで発生することになる(というか取り上げられるようになったというべきか)。

このケネス・アーノルドの目撃談から、「フライング・ソーサー」という呼称が定着し、それが日本では「空飛ぶ円盤」と訳された。
「皿」ではなく「円盤」と訳したところに翻訳者の技量が光る(ような気がする)。

しかし、実際にはこの目撃談、「見間違えではないか」という説が根強い(当然だ)。
そもそも、彼の目撃談を正確に読み直してみると、けっしてその謎の物体は円盤形などしておらず、「尾部がない」「受け皿かレコードを半分のところでぶつ切りにした形」などと証言していた。
では、なぜ「ソーサー(皿)」と表現したかというと、その物体の飛び方が「丸い皿を放り投げ、水切りをしたような飛び方」だったからだという。(唐沢俊一「新・UFO入門」幻想社新書)。

こういう話を契機に後の「円盤形UFO像」、さらには「UFO=宇宙人の乗り物説」が成り立っていく経緯は興味深いが、少なくともこのケースでは本来円盤型でもなんでもない物体についての話なのである。
謎の物体の正体として、「渡り鳥説」、「観測用気球説」など様々な説がある。大きさや飛行速度は目測の間違いだろうというのである。

当然、「飛行機説」というのもあるのだが、「尾部のない飛行体」「三日月型」という特徴から、「全翼機型飛行機」ではないかという人もいるらしい。

全翼機とは、一言で言うと一枚の主翼で機体が構成された飛行機のこと。無尾翼機ともいう。
胴体がないため、軽量化と空気抵抗の軽減が図れる一方、安定性を欠き積載量が減るという欠点もある。
この全翼機というのがなんともSFチックでカッコイイのである。

アメリカでこの全翼機の実用化に取り組んだのが飛行機メーカーのノースプロップ社。
大西洋往復爆撃(!)を可能にするはずだったノースプロップB-35だが、結局実践投入には間に合わず、しかも課題の機体の安定性の問題がネックとなり、開発計画は1949年に中止。合掌・・・
(ただし、ずっと時代は下って、コンピュータによる機体制御システムが完成したことから、現在のステルス機で知られるB-2爆撃機に引き継がれることになる。)

前置きが長くなったが、今日のバッジは、ノースプロップ社のN-9M爆撃機バッジ。N-9Mは、B-35の試験用機として実戦機の3分の1の大きさで製作され、1942年に初飛行が行われた。
このバッジはノースプロップ社製で、おそらくその関係の記念品ではないかと思われるが詳細は不明。
材質は銀に金メッキ、アメリカ空軍の星マークは青い七宝で彩色されている。幅約25mm程度の小さなバッジながら、全体のツクリは極めて丁寧で感心したのだが、やっぱりこの機の斬新なフォームは一目見てしびれた。決して飛行機マニアでない私も一目惚れしてしまった。

全翼機について調べていたら、こんなサイトが見つかった。全翼機の世界全翼機オンリーのマニアックなサイトだ。参考にさせていただきました。
でも、なんとなくわかるなあ、SF的な機体のこの魅力。