徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 内蒙古自治区第1回労働模範大会奨章

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労働模範」という語の響きも今となっては歴史を感じるが、昔ほどではないにせよ、今でも中国ではいろんなレベルでの労働模範表彰をやっている。
そして労働模範表彰で欠かせないのがバッジやメダルの類(奨章)である。

この種のものはずいぶん見てきたが、最近の新しい労働模範メダルなどは、なんだかピカピカ・テカテカ・キンキラキンのおみやげ物みたいでさっぱりアリガタミなし。魅力も色気も皆無というほかないのだが、親中国建国初期に製作された労働模範バッジ(メダル)は、製作技術は稚拙ながら、新国家建設の理想と社会主義政権の権威を示すかのように気合いの入った優れた作品が多い。
ま、誰が見てもどちらがすばらしい出来であるかは一目瞭然である。それに、昔の労働模範と言えば人民の英雄。今よりずっとエラかったのである。彼らの胸につけられた奨章も、さぞや輝いて見えたことだろう。

今日紹介の一枚は、私の持つ労働模範の中でも、珍品に属する。まずはじっくりご覧いただきたい。
(以前紹介した1952年山西省の労働模範章もあわせてごらんいただきたい。)

中央に「労働模範」、下に「1949」の文字が見える。1949年は、もちろん中華人民共和国の成立した年である。
上に見える文字はモンゴル文字。そう、これは中国内蒙古自治区における労働模範章なのである。両側を囲む作物は、コーリャンであろうか。トップに輝く赤い星は社会主義を象徴する。
裏面には「内蒙首届(=第1回)労模代表大会記念」と漢字で刻印されている。
材質はおそらく銀。赤、青、緑の七宝はモコモコと盛り上がり、味わい深い色である。それと、なんだかチューリップみたいに見えるコーリャン?がまた何ともいい雰囲気だ。
全体に感じるのは、プリミティブというか、まだ洗練されていないバッジのデザインなのだが、そこが魅力なのだと思うが、いかがだろう?

デザインの洗練は確かに合理性と安定感はもたらすものの、陳腐と味気なさに陥ることもある・・・ような気もするが、これはバッジに限ったことではないだろう。
古いバッジの魅力はそこにあるんだよなあ、とこのバッジを見ていてその思いを強くしたところだ。