徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 大日本武徳会三等功労章

イメージ 1

以前、武徳会のバッジを紹介したことがあったが、これはその功労章、三等である。

近代日本において、武芸の振興を図った武徳会。会の規模を反映してか、バッジは非常に多い。そして、功労章もあちこちでたまに見かけることができる。
その昔、私が初めてこの功労章を見たときは、確かあれも三等だったと思うが、金縁の入った黒漆塗りの箱に鎮座ましましているバッジを見て、なんだこりゃ?と思ったことを覚えている。大きさこそは小さかったが、その雰囲気は、まるで「小さな勲章」であった。

手に取ってみると、それはとてもユニークなツクリであった。
まず、蝶つがいが付いていて、中を開くことができるのだ。
イメージ 2

「表彰功労」「大日本武徳会総裁 大勲位功四級邦彦王」と手彫りで書かれている。
「邦彦王」とは、皇族で陸軍軍人でもある久邇宮邦彦王のことであろう。

イメージ 3

裏面には武徳会のシンボルが描かれている。

材質は銀製で、肖像には金メッキが施されている。
これが二等功労章になると、上の旭日章と肖像の背景まで金メッキが加わり、さらに一等になると全体が18金製となる(つまり全部金色)。

この功労章、時代とともにツクリが微妙に異なり(総裁自身も代わる)、しかも製造所も玉宝堂造幣局などがある。なお、造幣局製には、裏面に小さく造幣局の刻印があるのでそれと分かる。この画像の裏面には刻印が見えないので、おそらく玉宝堂製ではないかと思っている。

それにしてもこの肖像、これが総裁の久邇宮邦彦王なのだろうが、なんとも味わい深い顔つきである。写真と比較してみたが、丸みを帯びた頬のあたりはなんとなく似ているような気もするが、どうなんでしょうね・・・
私としては、本来企図したであろう威厳よりも、ユーモラスな雰囲気すら感じてしまうのだが。