徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

台湾 立法院記念章

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明日はいよいよ台湾総統選挙が行われる。民主進歩党民進党)の謝長廷と、中国国民党(国民党)の馬英九の対決である。
馬英九の優勢が伝えられているが、ここに来て起こったのが中国でのチベット問題。大陸側との融和とそれによる経済の活性化を訴えていたのが、逆にマイナスイメージになってしまったわけだ。馬陣営は、タイミングの悪さに、頭を抱えていることだろう。
一方の大陸側にしてみれば、独立志向の強い民進党総統の誕生は歓迎できる相手ではない。ここはなんとしても国民党側に勝ってほしいはず。

しかし、歴史を振り返ってみると、まったく歴史の皮肉を感じずにはいられない
かつて、激しい内戦を戦った国民党と共産党は、内戦後も激しい対立を続けた。互いを「蒋匪」「共匪」と罵り合い、台湾は「武力反攻」を、大陸は「台湾解放」をスローガンにしていたものだ。

「中国はひとつ」という考えも、本来はそれを巡って殺し合いをしていたはずが、いつの間にか逆に台湾と大陸を結びつける「共通の価値観」に転化されてしまった。なんなんだいったい。

今日のバッジは、ツクリの特徴からおそらく70年代以前のものと思われる。中央に中華民国旗、中華民国 立法院記念章」とある。なんの記念だかは不明である。
台湾の立法院といえば、まあ日本の国会と思えばよい。

ああ、ところが、これがまたフィクションの塊のような組織なのであった(かつては)。
なにせ、中国を代表する政府という建前上、中国各省の代表が改選もできないまま延々と高齢化を続けながら勤めているのだった。改選しようにも、大陸へ足を踏み入れることもできないのだ。
このまるでマンガのような体制は、90年代の初めまで続くことになる。しかし、老いた大陸の各省代表がよぼよぼ集まる立法院の様子というのも、想像しただけですごい。

国家というもの自体が虚構なのだが、その虚構に虚構を重ねた姿。今はずっと平常に戻ってきているが、なお矛盾を抱えたままの台湾は、政治的な世界遺産と言っていいんじゃないかと思うくらいだ。