徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

エスペラント 第45回(1960)世界大会バッジ ベルギー(ブリュッセル)

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世界のあちこちで頻発する民族問題。冷戦が終わった代わりに、それを穴埋めするかのように民族や宗教の対立が起きているというのはなんという皮肉か。

民族問題で常に問題になるのが、言語の問題でもある。
最近話題のチベット問題でも、ダライ・ラマ14世は「文化的虐殺が行われている」と中国側を非難。この裏には、チベット仏教文化だけでなく、チベット固有の文字や言葉への圧迫を感じさせる。実際、チベット地区にも漢族の進出は著しく、民族間の対立が起こる条件は整っている。
もっとも、ダライ・ラマが身を寄せているインドにしたって、民族・宗教問題は複雑を極め、民族暴動的事件の発生には神経をとがらせている国であることも忘れてはならないだろう。

ザメンホフ博士の考えた民族平等、異文化尊重を理想とするエスペラント語は、そもそもそうした対立を解消するために考え出されたものである。彼の育った19世紀のポーランドは、民族・言語間で厳しい対立が起こっていたのである。
が、残念ながら、エスペラント誕生から120年、この人工言語がそうした対立解消に有効に活用されたという事例は聞いたことがない。残念ながら、誰しもが民族問題となると客観的合理的解決方法を採るよりも我を通す方を優先させてしまうのである。
しかし、だからといって、私はエスペラントなど意義のない役立たずの徒労だとはまったく思っていない。そういう民族平等の視点を、言語の立場から与える意義は極めてユニークで貴重なものだと思う。

・・・というわけで今日はエスペラントバッジのご紹介。
1960年、ベルギーの首都ブリュッセルで開催された世界大会(UK、毎年開催)の記念バッジである。
「45.a UNIVERSALA KONGRESO DE ESPERANTO BRUSELO 1960」とある。
2人の人が、エスペラントのシンボルである緑の星を支えている図。下に見える円上のモノは、地球を表しているのであろう。エスペラントの星の下で、平等な人間を描いている。

あんまり面白いデザインでなく、正直言って私の持っているUK記念バッジの中でもどちらかというとダメな方に属する。うーん、どうしてこんなつまらんデザイン案が通ってしまったのかなあというかんじすらする。もうちょっと案を練ってほしかったモノだ。

なお、これまで紹介してきたエスペラント世界大会バッジは下記のとおり。
見れば分かるとおり、30年代のバッジのデキの良さは抜群である。