徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 エスペラント普及会50周年バッジ(大本教)

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このバッジを一目見て、「あ、大本だ」とわかった人は相当のバッジ通と言えよう。
三日月型の縁に緑の五角星、そして「E.P.A.」の文字。

E.P.A.、とはEsperanto-Propaganda Asocio、すなわちエスペラント普及会という。
大本教は日本の神道新興宗教であり、1892年(明治25年)の創設とされる。その後実質的指導者となった出口王仁三郎は、人工言語にして世界の橋渡し言語たるエスペラントの人類平等思想に共感、この普及活動を展開する。1923年にエスペラント普及会を設立、以来大本では今もエスペラント学習が熱心に行われている。

現教主である出口紅(第五代教主)自身、エスペラント学習には熱心で、エスペラント日本大会などに参加しているようである。
2007年第92回エスペラント世界大会が横浜で開催された時には、教主自ら参加したそうである。
そうだったのか!あの大会には、私も参加したじゃないか。
しかし、教主の参加日は8月5日とある。私が参加したのは8月10,11日なので、残念ながら会場で行き会っていた可能性はないな・・・

京都府亀岡市の大本本部にはエスペラント碑が設置され、巨大な「宣教センター」の前には大本の旗と並んで、エスペラントの緑星旗、人類愛善会旗が翩翻とひるがえっている。
これはぜひ一度行きたいものである。

このバッジは、裏側に「エスペラント普及会創立50周年記念 1973」の文字がある。純銀に七宝仕上げのバッジで、なかなか堂々たるものである。
EPA公式サイトでは、「1973年(昭和48年)8月13日エスペラント普及会創立50周年記念式典(亀岡天恩郷)」という記述があるので、この時の記念品として作られたものなのだろう。
今から40年前は、この種の式典にこうした立派なバッジを記念品として創る文化がまだあったのである。

しかし、もし大本の教えを世界に普及させようとするなら、残念ながら、エスペラントよりも英語のほうがはるかに有効であろう。
それでもエスペラントに熱心なのは、それが大本の理想の世界観だからである。もし事実上の世界語は英語なのだからもうエスペラント学習などやめてしまおう、となるだろうか。この姿勢を崩さないところが大本の信条なのだ。

第三代教主補、出口日出麿の「エスペラント学習の必要性」(1926年)には次の一節がある。

人類よ!
諸君たちは静かに眼をつぶって、
この世界語の一文を口ずさんでみよ。
この快い平和な旋律はなんと響くか。
その後の心の平和さと平静さを思いみよ。
このエス語こそ神である。神の言葉である。
この語を使用しうる者は、この語のうちに神を見いだすであろう。