徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 五等山西省義賑奨章 ~災害義援表彰?~

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昨日も触れたが、四川省地震による被害は、当初の想像を遙かに超えた規模になりつつある。なりつつある、というより、判明しつつある、といった方が正確か。
特徴的なのが家屋の倒壊などによる圧死のひどさで、関東大震災では火災による被害が甚大だったのに比べて対照的だ。
経済発展著しい中国でも、この災害が、都市の防災化へのきっかけになるかも知れないと思う。

さて、救援活動も待ったなしの状況で、必死の活動が行われている被災地。
中国全土では、いや、在外中国人の間でも、今や四川を救え!のスローガンが市民レベルで広がっている
私のよく訪れるコレクターたちが集まる某ネット掲示板があるのだが、そんなところでさえ、行ってみるとメールボックスに四川への義援活動を呼びかけるメールが入ってくる。
北京の繁華街では献血する人が長蛇の行列をなしている様子をテレビのニュースでも見たが、特に若者たちの意識が高いように見える。

さて、そんな中国の様子をテレビで見て、このメダルの存在を思い出したので紹介する。
中国山西省の五等義賑奨章である。「賑」という字は、「賑災(=罹災者の救済)」などと使われるので、「義賑」とはまあ「(被災者の)義援」くらいの意味か。
正体はまったく分からないのだが、作はおそらく中華民国初期とみる。当時、災害などに対する義援活動に協力した、おそらくは義援金の協力などに応じた人を表彰するために贈られたメダルと想像している。

とりわけおもしろいのが、中央に描かれている動物である。
ウロコや蹄の感じといい、尻尾や頭の角といい、体に発する燐光といい、これはまさに中国の霊獣「麒麟ではあろう。アフリカに住む首の長い動物じゃなくて、ビールのラベルでおなじみのアレだ。
義援活動と麒麟がどう結びつくのか・・・というと、聖者が世に現れるときに姿を見せる、平和で慈悲深く、徳の高い成獣とされているのだそうだ。
そう考えると、まったく災害義援表彰にふさわしいシンボルといえよう(ビールのほうはなんで麒麟なのか不明だが)。

ちなみに、以前、やはり中華民国時代に作られた司法部の奨章を紹介したことがある。
こちらには正義の審判を下す霊獣「解豸(カイチ)」が描かれていて、まさに司法部にはピッタリである。この際改めて紹介しておく。

ともあれ、一刻も早く救援活動が軌道に乗ることを希望してやまない。