徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

モンゴル 国民大会議議員章(1970~1990)

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先日、モンゴルで総選挙結果を巡って大規模な暴動が発生、多数の死傷者が出て、非常事態宣言が発せられる事態となっている。

要は、野党の民主党が、大差をつけて勝利した与党の人民革命党に対して選挙の不正を訴え、抗議行動を行っていたら暴動に発展してしまったと、報道によればそういうことらしい。
でも実際の所はどうなんだかサッパリわからぬ。本当に選挙に不正があったのか、ただのデマによる暴動なのか。今のモンゴルでは、どちらの可能性も十分、ありうる。

人民革命党の党本部に大勢の暴徒が押しかけ、投石、放火、破壊を働く様子は、ニュースでも放映された。1990年に社会主義体制を放棄したモンゴルだが、政情は不安定というほかない。市場経済を導入すればすぐに豊かになり、複数政党制を導入すればたちまち公平で民主的な政治が実現する、などというのは幻想でしかない。
実際には、豊かになるチャンスができ、民主的な政治が生まれる制度的なキッカケができた、というに過ぎないのだが・・・。

社会主義体制下のモンゴルは、ソ連の忠実な衛星国として、あらゆる社会制度をコピーして、あたかも「アジアにおけるソ連邦共和国」の様相を呈していた、といっていい。
バッジもまたしかり。
このモンゴル国民大会議員章(国会議員バッジ)も、ソ連のそれの全くのマネである。国旗や、書かれている文字が違うだけ。デザインだけでなく、実際のツクリまでそっくり。このバッジはそもそもソ連だからである。

銀製で、裏面はネジ止め式、3桁のシリアルナンバーが彫ってある。が、さすがに完成度は高く、ツクリは細部に至るまで丁寧で、高級感のあるバッジとなっている。透明感ある七宝仕上げがとりわけ美しい。
なお、このバッジは1970~1990年のタイプであるが、現在の議員章はモンゴル仏教の仏具の形を取り入れたデザインとなっていて、やたらゴテゴテと、古色蒼然としたバッジが採用されている。

でもねー、私は画像で見たことあるが、これが全然魅力的でないのだ。全体にツクリがチャチでどこかオモチャめいていて、そのくせデザインだけはゴテゴテと複雑で、それはモンゴルの民族文化意識の発露なのだろうが、そんな意識だけが上滑りして安っぽさがいっそう際だっているというか。個人的好みで断言して申し訳ないが、社会主義時代より数段品下がる。

まあ、こういうのは別にモンゴルに限った傾向じゃないのだけど・・・。