徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

フランス 第2次アヘン戦争記念メダル(1860)

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(某カタログ誌より)

最近ニュースでちょっと気になっていたのが、有名オークション会社クリスティーズが先月開いたオークションの話題だ。

イギリスが例によって中国に無理難題をふっかけて引き起こした第2次アヘン戦争。英仏連合軍が北京に侵攻、占拠したのは1860年のことである。この時、北京郊外にあった西洋式庭園「円明園」は徹底的な破壊と略奪によって完全に廃墟と化した。

で、この時、円明園から持ち出されたとされる、ブロンズ製のネズミとウサギの頭部がクリスティーズのオークションにかけられたのだ。中国政府は略奪品につきオークションは無効であり、すぐに返還すべしと主張。一方クリスティーズ側は「法的問題はない」として、2月25日に予定どおりオークションを実施した。
その結果、予想価格を大きく上回る1400万ユーロ、約34億円で落札された。
ところが、である。当初明らかにされていなかった落札者こそ、中国文化省傘下の民間団体「中華海外流出文物救援基金」の顧問の人物だった。そして、「略奪品に金を払うつもりはない」と声明を発表、無条件での中国への返還を求めた。

いやー、これ、どうなるんだろうなあ。
オークション主催者側の立場はあくまで「法的問題なし」なのだから、今さら、じゃあタダで返しますよ、とはならないことは明白。となるとオークション不成立ということになるのだろうか。そうなると、落札した中国人は、ただのオークション妨害を果たしたことにしかならないような気もするが、中国のメディアには「よくやった」という論調が多い。

まあ、それはともかく。
この第2次アヘン戦争には英仏両軍あわせて1万7千人の大軍を発したのだが、その勝利に記念メダルが発行されている。手元にある資料から、フランス側のその記念メダルを紹介しよう。
表面は、ナポレオン3世である(裏面の文字はよく見えない)。黄色いリボンにデカデカと書かれた「北京」という刺繍が印象的だ。
メダル自体はまったくありきたりなのに、リボンがすごく目立っておもしろいという珍しいタイプのメダルではある。

余談だが、円明園は今、往事の姿を復元するための工事が行われているのだが、私は個人的に反対である。
ここには昔行ったことがあるが、豪華な彫刻が施された石柱などがゴロゴロと転がる壮大な廃墟には圧倒された。また、ここは精華大学附属中学の学生が、1966年に紅衛兵組織を立ち上げた地とも言われている。そう思いながら散策すると、思いもまたひとしおなのであった。

今さら何を作ったところで、所詮はインチキなシロモノに過ぎない。20世紀の中国の歴史に思いを馳せるのには、金ぴかの新築御殿よりも、風雨にさらされた廃墟の方がふさわしいように思うのだが・・・

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円明園の十二支像のうち、今回出品されたネズミとウサギの頭部)