徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 日本赤十字社篤志看護婦人会員記章

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家族が緊急入院することとなり、おかげでこの1週間えらい騒ぎにだった。まあ無事退院できたからよしとしよう。まあ実際、付き添いやら何やらは確かに大変だったが、専門家による集中的な治療を受けられるのは、なにより安心感があった。

で、この度お世話になったのが、日本赤十字病院だ。
昨年も別の件でお世話になったのだが、今回も改めて感心させられたのが看護師(看護婦)さんたちの親切な対応ぶりであった。心配と不安を抱える患者や家族にとって、それは何よりありがたく、私たちも本当に感謝と尊敬の念を抱いたものだ。
若い研修生たちもたくさん来ていたのだが、ぜひがんばっていい看護師さんになってね、とひそかに願わずにはいられなかったよ。

だが、実際には看護師の労働条件はなかなか厳しいらしい。
病院の入り口には「全日赤(全日本赤十字労働組合連合会」のポスターやビラが貼られていて、待合時間にはじっくりとそれらを観察していたのだが、その訴えはなかなか切実である。
今の私は、看護師には医師並の待遇を与えてもいいんじゃないかという気持ちにすらなっている。それはきっと社会の利益にもなるんじゃないか、と。

前置きが長くなった。今回はぜひ赤十字ネタを取り上げよう。
彼女たちが白衣の襟につけている楕円形の赤十字バッジの写真を撮ってきたかったが、それもちょっとアレなので、手持ちの赤十字関係バッジで我慢するとしよう。

日本赤十字社篤志看護婦人会員記章」、と箱にはある。
宝鏡の形をしており、桐花と竹葉、そして赤十字が描かれているバッジだ。

さて、この「篤志看護婦人会」とはなにか・・・と調べてみると意外だった。
明治20年日本赤十字社が誕生すると同時に成立した、皇族妃や華族女性などからなる上流階級婦人の組織。むろん、そういう会員たちだから、自身が看護婦として働くわけではない。活動は、看護婦のイメージアップや生徒募集の宣伝などであった。
そして、日露戦争を契機として、女性は従軍看護婦として国に尽くす、というモデルを確立していったという。
私も、この会のことを模範看護婦かなにかの会だと思っていたので認識を改めたところである。

ところで、このバッジには桐花と竹葉が描かれているが、これはなんだろうか?
実は、日本赤十字社の社章に由来するデザインである。日本赤十字社設立の報告を受けたとき、昭憲皇太后はかんざしを示して、その模様をマークにつかうようアイデアを出したという。
鳳凰は、桐の林に住み竹の実を食べるという伝説によるものだ。
このかんざしは、今も正倉院に保存されているという(知ってます?)。

そういえば、病院で見た労働組合「全日赤」のポスターに、「白衣を戦争の血で汚すな」というスローガンがあったなあ。国家総動員の全面戦争下では、むろん医療関係者も無関係ではいられなかったのである。
そう思うと、あの反戦スローガンにも何となく重みを感じる。