徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 広西省土地改革奨章(1952年)

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世界的規模の不況で先進国がのきなみ苦悩しているのをよそに、めざましい経済発展を続ける中国。中国は、国の内外にさまざまな問題を抱えつつ、もうじきGDPで日本を追い抜き、アメリカに次ぐ第2位を占めるのは確実視されている。
・・・最近、そんなニュースを聞く度に、何だか感慨深い気持ちになる。

人口が圧倒的に多いのだから経済規模の拡大も当然と言えるが、周知のとおり、ここに至るまで中国の現代史は、恐るべき波乱に満ちたものであった。

1949年、国民党に代わって建国を宣言した共産党にとって、国民の多くを占める土地を持たない農民に対して、農地をどう与えるかは極めて重大な問題であった。
そこで、全国各地、辺境の村々まで行われたのが、1949~1952年の「土地改革運動」である。土地改革工作隊が、地主の所有する土地を整理・配分し、農民に土地証を発行して権利を確定した。
地主の土地を再配分するに当たって、かなり強硬な手段が行われたところもあれば、その逆の例もあり、温度差はあったようだが、あの当時、膨大な面積の農地改革が行われたことを思うと、スゴイとしかいいようがない。農民階級の支持を受けて発足した共産党政権にとって、これこそ、国の存亡をかけた大事業であったのだ。
そして、この困難な事業を成し遂げたことにより、新国家としての体制を固めることに成功したわけだ。

で、今日の一枚はその土地改革運動のもの。「広西省土地改革奨章」というのだから、おそらくこの事業に尽力した土地改革工作隊の幹部などに配られたモノだと思う。
50年代初期のバッジらしい重厚さがあるバッジだが、なんと言ってもデザインのおもしろさがいい。
「土地証(土地の権利書)」を手に、うれしそうな農民の表情を見てほしい。そして、その背後には、新中国の国旗がはためく・・・。

ところで、中国の古いバッジには人物が描かれることが多い。そして、大体、このバッジもそうだが、なぜかどうもコミカルな雰囲気なのだ。作った側にそんな意図はないと思うのだが、えげつない政治スローガンバッジにせよ、戦争バッジにせよ、人物が描かれたものはなんとも言えないユーモアが漂う。
これも中国バッジの魅力と言えようか。