徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 大日本蚕糸会第二種紅綬功績章

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現在、日本は大きな産業構造の転換期を迎えている。隆盛を誇った製造業は新興国パワーに対抗しきれず、輸出産業は止むことのない円高によって打撃を受けている。一体、これからの日本は、何でもってメシを食っていくのであろうか?日本は、留まることのない没落へと向かっているのではないか?

そんな悲観的ニュースばかりが多く目につく昨今。だが、日本が近代に突入してこのかた、産業構造が変化しなかった時代というのがあっただろうかとも思う。かつて花形産業ともてはやされた業種とて、その繁栄はただの半世紀も続いたのだろうか? そう思えば産業の繁栄など、虚しいものである。

栄枯盛衰は世の習いといってしまえば終わりかも知れないが、実は私には、惜別の思いをもっているある産業がある。
養蚕業である。

わが家の歴史にも自分の仕事にも何の関係もないのだが、日本がこの産業に傾注してきた労力たるや、考えただけで恐ろしくなる。日本の近代を支えてきたのは、白くぶよぶよとしたイモムシである。その虫どもの習性を知り尽くし、飼い、絹糸を生産してきたてきた人である。
なのに一体、養蚕ニッポンはどこへ行ったのだろうか? 
すべてが、廃れてしまったのだ。それを考えると、私はまるで壮大な廃墟を見る思いにおちいるのである。

というわけで、今日は養蚕業発展に貢献してきた大日本蚕糸会の功績章を紹介する。
大日本蚕糸会明治25年に成立した民間団体で、現在も財団法人として活動している。試験研究、技術普及、伝統継承などのための事業を行っており、その中に表彰事業もある。
画像のメダルは、第二種紅綬功績章である。名前の通り、赤白ストライプのリボンがついている。
デザインをよく見ると、絹糸の束、繭玉、桑の葉など、養蚕を表すモノがちりばめられている。
箱を見ると、東京神田の東洋徽章製作所の作らしい。全体のツクリといい七宝の質といい申し分ない出来栄えで、これは大日本蚕糸会の功績章一般に言えることだが、大変レベルが高い。5つの出っぱりとそれを取り巻く桑の葉という全体のフォームは、フランスの勲章レジョン・ドヌールの影響を感じる。
この立派さには、いかに大日本蚕糸会が表彰事業に力を入れてきたかということがうかがえる。つまり、それだけ権威があったということだ。

このメダルは戦前のモノとおぼしいが、最近もこんなに立派なメダルが作られているのかなあ・・・