徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 バッジにおける人物肖像彫刻 ~40年代蒋介石バッジを例に~

ロイヤルウェディングに沸くイギリス。
ところが、先日、王立造幣局が作成したウィリアム王子とケイトさんの婚約記念コインが発売されたが、「ケイトさんの肖像が似ていない」と批難が上がっているというのだ。
これに対し、王立造幣局側は、似ているかどうかは主観の問題であり、事前に王室の了承も得ていると反論した上で、「コインのような小さいものに人物をデザインするのはいつでも大変で、若い人の場合は特に難しい」とコメント。

ネットで実際の記念コインを見てみると、うーむ、確かに似ているとは言い難い。そんなにひどくもないようにも思うが、民間の中小メダルメーカーではなく、権威ある王立造幣局作となると、ちょっとどうなんだろうという気もする。

確かに、造幣局側がいうように、コインやメダルに特定の人物の肖像を彫刻するのは相当高度な技術を要するらしい。そして、この問題はバッジにおいても全く同じである。
私のコレクションから、その例を、中国の40年代蒋介石バッジで見てみよう

まず、オリジナルの肖像写真だが、これは蒋介石の写真としては最も有名なもののひとつ。
これを陶板プリントの手法でつくったのがこの陶製バッジである。
イメージ 1


そして、金属レリーフバッジがこちら。じっくりと見比べていただきたい。
イメージ 2


オリジナル写真があまりにも有名なため、誰が描かれてているのか疑う余地はないが、一枚一枚はかなり独特の顔つきをしているのがわかる。こうしてみてみると、職人の手作業が味わい肖像を生み出している。
特に右下の青いバッジは、微妙に間のびした顔つきといい、死んだ魚のような目玉といい、ある意味傑作と言っていい出来栄えだ。「領袖肖像」の文字は、蒋介石バッジにはしばしば見られるが、このバッジの場合、「これ、誰だかわかると思いますけど、蒋介石委員長ですからね念のため」という言い訳に見えてくる
実際には、蒋介石バッジにはさらにこの上を行くケッサク、もはやこれっって政治問題にならなかったんですか?とこちらが心配になるほどの奇怪な肖像のバッジの存在も確認されている。

中国人の度量の広さというべきか、いい加減さというべきか・・・これもやはり主観の問題に過ぎないのであろうか。