徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 「抗戦十四年徽章収蔵図鑑」

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コレクター市場が過熱する一方の中国では、関連書籍の発行もまた盛んである。書画骨董は言うに及ばず、コイン、切手などのメジャーなコレクターズアイテムに混じって、徽章関係の本もしばしば目にするようになった。

そんな中、今日紹介したいのがこの一冊。「抗戦十四年徽章収蔵図鑑」。
タイトルどおり、1931年9月の満州事変から1945年8月の終戦に至るまでの日中戦争関係のバッジを中心にした本である。2010年1月に発行される前からこの本のことは知っていたので欲しかったのだが、最近ようやく入手できた。

著者の趙暉氏は、16年来このテーマで徽章類の収集をしており、この本に収められた700点あまりの収蔵品は著者のコレクションという。
で、中国で作られたバッジだけでなく、日本軍モノ、満州などカイライ政権モノなども併せて掲載している点がユニークである。が、私がこの本を欲しかったのは内容だけでなく、著者を個人的に知っているからである。最後に会ってからずいぶん久しいが、今でも彼も私のことを覚えていると思う。

私が彼と初めて出会ったのは北京の露天骨董市で、父親とおぼしい人物とともに、バッジやその他様々なモノを並べて売っていた。あれはもう10年も前になるだろうか。
彼の「店」は、見かけは乱雑ながら、よく見るとキラリと光るいいものがあって、他とは一線を画していた。バッジを3つほど選んで値段を問うと、こっちのもどうだと彼が勧めてきた。ありきたりの品だったので、「それは要らない」と私が手にも取らず答えると、「この人よく知ってる」と、彼が父親?と顔を見合わせていたのを思い出す。

当時は北京の骨董市も今ほど整備されておらず、地面にただ布を広げて雑多なモノを並べているだけだった。まさに玉石混淆、いや、「石」の方が圧倒的に多かったのだが、それでも当時は露店市場でもまだバッジ類の掘り出しものも見かけることができた。断言してもいいが、今ではもう無理である

何度か会ううちに、彼も私をコレクターと知って、日本軍バッジについていろいろと質問してきたものである。残念ながら、どのくらい正確な回答ができたものか自信がない。
彼からはいろんなバッジを買わせてもらったが、その内のいくつかは私のコレクションでも特にお気に入りとなっている。さすが、自身がコレクターだけのことはある、と思ったものだ。

そんな彼が出した本とあって、ぜひ買いたかったのである。本に掲載されたバッジには、今となっては大変貴重な品も多い。これを今から集めようと思ったら莫大な金額が必要となるだろう。
日本軍モノについては、主にネットオークションなどで入手したらしい。まあ便利な世の中になったものである。
ただまあ、掲載されている日本関係モノコレクションについては、日本のコレクターから見れば、それほどの名品はないように思う。

本の中身をちょっとだけ紹介。
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第1章「為民立功」より
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第2章「全民抗戦」より
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第3章「軍事侵略」より(日本軍モノ)

改めて思うのは、昔、まだ発見の楽しみがたくさんあった中国コレクター市場のことだ。コレクターの古き良き時代よ。
ああ、なんかこんなふうに書いていると、自分がすごく年寄りになった気がするなあ・・・。