徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 清末警察?帽章

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今年2011年は、中華民国100年、すなわち清朝を打倒した辛亥革命から数えて100年目となる。
満州民族の支配王朝であった清は、外から押し寄せる帝国主義と、内からは漢族の民族主義の興隆により、今から百年前、ついに滅亡したのであった。

清朝のことを考えると、私としてはいささか複雑な気持ちにもなる。
もし清が満州族でなく、漢族の王朝だったら、二十世紀の中国の歴史はどうなっていただろうか。それでも帝政打倒、共和主義バンザイの革命が起こっただろうか。

帝国主義列強による激しい圧迫に、清王朝は譲歩に譲歩を重ねざるを得ず、それが国民の目を覚めさせる結果となった。だが、もし漢族王朝であった明が17世紀半ばに滅亡せず、20世紀まで継続していたとして(これも相当困難な前提だが)、果たしてどれだけ適切に対応できたかどうかというと相当疑わしく思える。

清朝の12人歴代皇帝を見ても、おしなべて明朝よりもずっと有能であったという説がある。また、お家騒動や宦官・外戚による権力介入の害も明朝より遙かに少なかったといってよく、どうも清朝の方に高得点を与えざるを得ない。
つまり、清朝は、満州族王朝であったせいで、20世紀の革命以降実際よりも悪く評価されてきたのではないかという気がしてならない。異民族支配体制のまま、近代の帝国主義民族主義の時代に突入してしまったのは、単に運の善し悪しの問題に過ぎないのではないか。
まあこの辺の評価が定まるには、100年くらいではまだ足らないのかも知れない。

余談が過ぎたがバッジである。
清朝も末期になると、欧米の文化流入により近代的な徽章の製作が行われるようになる。勲章やメダルも中華風味を濃厚に残しながらもハッキリと西洋型のモノが作られた。
また軍なども近代化され、洋服をベースにした軍服が定められた。警察もまたしかり。

今日の画像は、清朝末期の警察のモノと思われる帽章である。
全体は8角形で、中央に中国のシンボルである龍の正面像が描かれている。デザイン上はまだまだ古さも古し、という感じもするが、形式としては明確に帽章の形をしている。刻印はなかなか優れており、大きさもあり、立体感もあってかなり堂々とした帽章である。縁を周り取り巻いているのは瑞雲であろう。

清朝の徽章は数が少ない上に雑多なモノが作られており、かつ資料が少ないのでなかなか研究が進まないのが現状だが、最近では中国人コレクターの人気の的となっており、相場がつり上がる一方となっている。