徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 三級解放勲章(1955年)

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上海の第1回共産党大会跡記念館(2010年9月撮影)

今日は中国共産党の創設記念日。創設は1921年のことだから、今年はちょうど90年目になる。今や党員数8000万人を超える世界最大の政党となった。もっとも、独自の未来観とイデオロギー理論武装していた頃の面影は完全にない。
店の看板には一応「共産党」とは書いてあるものの、入ってみれば店内の商品やサービスは全部資本主義のモノばかりで、これって偽装表示じゃないかよとも思うのだが、店は最近ますます大繁盛で、店員も客も名前と実態の差などに疑問を持つことはない様子・・・に見える。
なんか変な気もするけどねえなどと思うのは、私のようにヒマな外国人ばかりなのであった。

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「三級解放勲章」
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三級解放勲章の箱

さて、今日は中国の勲章を取り上げる。
中国の勲章制度は、政治的混乱もあって、結局のところ明確に法制化されていない。もっとも、このことについては日本でもなかばドサクサ紛れでうやむやにしてきた経緯があって、他人のことはあまり言えないのである。
最近、中国国家勲章法の成立に向けて研究が行われているらしいので、そのうち中国で新たな勲章が制定されることになるのかも知れない。どんなモノができるのやら。なにやらスゴイのが出てきそうな予感である。

今をさかのぼること55年前。1955年2月、全国人民会議代表大会常務委員会は「勲章奨章条例」を決議、これによって新中国初めての正式な勲章が誕生した。八一勲章、独立自由勲章、解放勲章の3種類(それぞれ3階級)の勲章と、八一奨章、独立自由奨章、解放奨章(単一階級)の3種類の奨章である。

それぞれの区分は以下の通り。
八一勲章は、中国労農紅軍時期(1927.8.1~1937.7.6)に革命戦争に参加し功績のあった者
独立自由勲章は、抗日戦争期(1937.7.7~1945.9.2)に革命戦争に参加し功績のあった者
解放勲章は、解放戦争時期(1945.9.3~1950.6.30)に革命戦争に参加し功績のあった者

画像の解放勲章は、3種類の勲章の中ではもっとも低クラスの扱いで、授与数も多い。一級から三級のランクは対象時期の軍内階級によって決定された。
なお、画像の三級解放勲章がどのくらい発行されたのかというと(1955~1957年)、手元の資料によれば54,879人となっている。5万個というと、絶対量としては少なくないが、何せ中国の膨大な人口を考えるとこれはかなり選ばれた栄誉といってよいかも知れない。
最も数が少ないのが、もちろん最上位の一級八一勲章で、わずか178人。

しかし、60年代半ばになると中国国内では極左主義が台頭、華美な軍服や勲章が廃止され、軍内の階級も否定、平等主義が強調されるようになる。そして文化大革命が勃発、軍の高級幹部が次々に打倒され、勲章などはもってのほかという空気に支配されていく。この時代、多くの55式勲章が廃棄損壊されたといわれている。

さて、改めて画像を見てほしい。
全体は花びらのような五角形で、中心には光を放つ赤星と天安門が描かれる。
正直、デザイン的には陳腐な印象が否めないが、重厚感ある質感とツクリがかろうじて安っぽさを救っている。
裏面には「中華人民共和国 三級解放勲章 一九五五年 北京」と、シリアルナンバーが刻印されている。箱の裏にも、必ず勲章裏のシリアルナンバーと同じ番号がスタンプされている。

この一連の55式勲章もご多分に漏れず、市場では相場が急騰している。以前は、二級でも独立自由勲章や解放勲章なら買えないことはない値段だったのに、今では話にならない。八一勲章は、三級ですら信じられない値段になってしまい、まして二級の八一勲章なんて全く手が出ないし、一級八一勲章などは、断言してもよいが入手は不可能である。買えるうちに買っておけばよかったと後悔しても後の祭り。手元にあるモノだけでも安く買えてよかったじゃないかと自分を慰めるしかない。
需要あるところに供給あり。しばらく前、北京で一級の八一、独立自由、解放の勲章レプリカを売っているのを見かけたことがある。意外によい出来で、一瞬買おうかなとも考えたが所詮はレプリカ。複製品に愛着は沸くわけはなく、入手の喜びもないのでやめた。まあ正解だったと思う。

なお、現在、これらの勲章の中国国外持ち出しはけっこう厳しいので、見つかったら即没収は免れない。安い買い物じゃないので、要注意だ。