徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 放送文化賞受賞記念章(日本放送協会)

イメージ 1

長年コレクターをやっていると、思わぬ形で珍品・逸品が手中に転がり込んでくることがある。それも、タダ同然といっていい価格で。
それはまったく天からの恵みとしかいいようのない幸運だが、よくよく考えてみれば、同程度かそれ以上の確率で名品・逸品を入手し損ねている事態も当然発生しているはずで、ただこの不運について我々がそれを認識できないだけの話である。まあ、もしかして名品を入手し損なっているかもしれないなどという思いにとりつかれ、常に不安に駆られていては精神衛生上も悪いだけであって、たまーに訪れてくれる幸運を素直に喜んでいるだけの方が、シアワセというものであろう。

余談が過ぎた。
今日の一枚は、まあそれほど大げさなモノではないが、幸運にも安価で偶然入手できたモノである。ほとんど気にしないで購入したが、後で気になって調べたところ、興味深い一品であることがわかった。

バッジに不釣り合いなほどの大きなケース付きで、ケース表には「放送文化賞受賞記念章 日本放送協会」とある。つまりNHKの記念品。
ケース内には、「MIYAMOTO-SHOKO Gibnza Tokyo」の文字が見える。宮中の記念品、銀製のボンボニエールなどを製作していることでも有名な宮本商行である。
NHKの公式サイトによると、「NHKでは、放送開始25周年にあたる昭和24年度に「日本放送協会放送文化賞」を設け、放送事業の発展に寄与し、放送文化の向上に貢献があった方々に、毎年この賞をお贈りしています。これまでの受賞者は今回の受賞者も含め406名です。」とこの賞についての説明がある。
受賞者の顔ぶれを見ると、作家、俳優、音楽家、スポーツ選手、学者と幅広く、いずれも著名人ばかり。
するとこのバッジも、406人のいずれかの著名人が手にしたモノであることは確実だ。

バッジ本体を見てみよう
まずバッジを手にして、おやっと思ったのがその重量感。直径13mm程度の大きさにして、意外な重さがある。裏を返してみると、「Pm」という刻印がある。初めは気がつかなかったが、プラチナを意味する刻印だ。これが重量感の原因らしい。
プラチナを表す刻印は、現在では「Pt」が用いられるが、かつては「Pm」であった。いつ切り替わったのかは明確ではなく、1960年頃ともいう。
金製のバッジは稀にあるが、どちらかといえば珍品の部類に属する。だがプラチナ製バッジというのは、桁違いに珍しい。

よく見ると、表面のNHKの文字や周囲には細かい飾りが施されている。そして下地の緑は、七宝かと思いきや、ルーペで観察するとどうやら石らしいことがわかった。そのためか、緑の部分はかすかに透明感と同時に深みのある美しい色あいである。石の種類はわからない。

このバッジは、それらの細かいパーツが組み合わせた複雑なツクリをしている。
素材といい、ツクリといい、どうも凡百の品とはレベルが違う。
誰が手にしたバッジなのかわからないところが惜しいが、放送文化賞が創設された初期の頃の品だということが想像される。

いくらで手に入れたのかは全く記憶になく、ほとんど気にも留めないくらいの安価であったことは間違いない。おそらく売り手も、賞の内容や素材(Pm=プラチナ)もをらなかったのではないか。私も知らなかったし、お互い価値を認識していないまま、こちらの手に渡ったのだ。

まあ、コレクター人生、たまにはこんなこともあっていいよね・・・