徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 雷鋒同志バッジ

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そんな中国で、ちょっとした「最美現象」が流行っていると、テレビでやっていた。ちょっとした美談がマスコミやネットで大きく取り上げられているのだという。
大ケガを負いながら乗客を無事助けたバス運転手、子供を交通事故から救った教師、ホームレスの子供に食事を提供した男性、そんな人々が英雄扱いされているのである。

だがまあ、中国ではこの流行は今に始まったことじゃない。
とにかく大きな災害となれば、美談のネタには事欠かない。大洪水や大地震などが発生するたび、決まって我が身を犠牲にして他人を救った英雄の話が大きく取り上げられている。テレビに向かって、彼らの友人知人が、涙ながらに生前の「英雄」がいかに素晴らしかったかを語るのが定番だ
逆に日本では、災害時に美談はそれほどは登場しない。そのことを不思議だと感じる外国人(中国人だけじゃなく)は多いんじゃないかと思っている。

そして、中国で美談といえば、この人を忘れるわけにはいかない。雷鋒同志である。

そんなわけで、前置きが長くなったが、今日の一枚は雷鋒同志のバッジ(知人のコレクションによる)。
雷鋒は死後50年が経過したが、彼を知らない中国人はおそらく存在しないだろう。21歳の若さで職務中事故死した中国人民解放軍の兵士である。職務に忠実で困った人を見ると放っておけない人柄で愛された。一介の兵士でありながら、彼が死ぬと毛沢東は「雷鋒同志に学べ」と呼びかけた。今でも中国の小学校では雷鋒の肖像を見かけられることがあり、政府は時々思い出したように「雷鋒精神」キャンペーンを呼びかけたりする。
童顔で笑顔が印象的な青年である。この風貌が多くの人に好かれる理由だろうと思う。笑うとえくぼが見え、実に愛嬌がある。

バッジでは、右腕に本を抱えているが、毛沢東選集であろう。毛沢東の著作を熱心に学習したエピソードも有名である。実際よりも丸く愛嬌のある顔がおもしろい。右下に「雷鋒」の文字が見えるが、防寒帽をかぶった丸顔の兵士が本を抱えていれば、少しくらい顔が似ていなくても中国人にはそれが雷鋒だと理解できるのである。
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