徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

アメリカ 反ロムニー候補バッジ

アメリカの一大イベント、それは4年に一度の大統領選挙。その選挙日は11月6日に迫っている。もうじきなんだなあ。
ニュースでテレビ討論の様子をやっていて、内容はともかく、なんとしても討論で勝ちを収めなければならないという必死さだけはよく伝わった。必死さのあまり、討論は滑りがちだったようにも見えたけど。
なんにしても、アメリカの有権者にとってはなによりの判断材料になるだろう。視聴率が高いのもうなずける。

さて、アメリカの大統領選といえば、バッジが欠かせない。以前、反オバマバッジを紹介したので、今回は対抗馬ロムニ候補のアンチ・バッジを取り上げる。
とはいっても、まだ今は候補者に過ぎないので、現役大統領のオバマに比べると、反ロムニーバッジはバリエーションが少ない。それでも、例によってえげつなさあふれるバッジはちゃんと作られているので安心してよい。
オバマがアカの社会主義者なら、ずばり、ロムニーは貧乏人を搾取するあくどい金持ちだ。

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ロビンフットに擬せられたロムニー。ロビンフットならぬ「ロムニーフット」というダジャレがなんともしょうもない。義賊ロビンフットの逆で、「貧乏人から取れ、金持ちに与えろ」と。

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ロムニーのデブ猫」。札束にまみれたデブ猫。自身が富豪で、金持ち優遇策のロムニーの姿を投影させているわけだ。この写真、合成じゃなくて、本当に札束を猫の上にばらまいたように見えるんだよなあ。わざわざ猫の上に札束をまいて撮ったんだろうなあ。
ネガティブキャンペーンに利用されているとも知らず、きょとんとしたデブ猫・・・でもかわいい。

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「我々の税金は戻ってくるのか?」の問いに答えてくれるのは、マリー・アントワネット。「国民が知る必要のあることなら、私たちは全部提供してあげるわ」。
これはちょっと判じ物である。もちろんマリー・アントワネットがこんなことは言っていたわけではない。テレビでこう語ったのは、ロムニー夫人だ。納税記録を示して、脱税疑惑に答えて言ったのだ。一般的な税率よりもかなり低い額しか払っておらず、多額の収入を得ていることが批判された。どうも違法ではないらしいが、その手口はまあ一般国民からすると「ずるい」と不公平感を感じさせる結果となった。
あれっ?よく見ると、マリー・アントワネットってこんな顔だったっけ?・・・そう、これはロムニー夫人の顔がコラージュされているのである。マリー・アントワネットに重ねられるあたり、彼の妻も「浮世離れした、いけ好かない金持ち女」と世論の反感を買っている様子がうかがえるなあ。

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「オレは1%だぜ!」「99%なんて大っ嫌いだね!」「オレに投票しろよ!」「オレはウソつきさ!」
ウォール街を占拠した反格差デモも今となってはすっかり記憶から薄れた。ひところ世界中でブームになったものだが。悪魔顔のロムニーが言っているのもそれを指す。大富豪ロムニーは、もちろん「99%の人たち」の残りの人たちに属するので、こんなヤツに投票するな・・・というバッジだ。

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こちらはわかりやすい。「DRAFT DOGGER」、つまり「徴兵逃れ ミット・ロムニー」。ロムニーは、ベトナム戦争への兵役を逃れていたというのである。裕福な家庭ではよくあったことらしいが、彼の場合はモルモン教徒という宗教的立場も利用していたようである。もしモルモン教徒が大統領になれば、アメリカ建国以来のことになるという。モルモン教徒への反感もにじんでいるのかもしれない。
描かれているロムニーの顔は、まるで指名手配写真のようでもある。

・・・というわけで、現役大統領にはかなわないとはいえ、反ロムニーバッジも多種多様。いったい誰が考えるんだよこんなバッジ。
当然のことながら、実際にはアンチ・バッジよりも支援バッジの方が多いのは、言うまでもない。「オバマを支持する」、「ロムニーに投票しよう!」などと。

しかし、どうしてもえげつないネガティブキャンペーンのほうについ目がいってしまうのは私のサガ。それにバッチリ応えてくれるアメリカのバッジ製作者。「魚心あれば水心」、というのはこういうことをいうのか(違う気もする)。

【関連の既出項目】
反オバマバッジ