徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 県民の警察官章

イメージ 1

「県民の警察官」表彰、というのをご存じだろうか。私は知りませんでした。
警視総監章などの、警視庁警察表彰取扱規程に基づく制度ではなく、産経新聞が主催している民間表彰である。
・・・なんで産経新聞が警察官を表彰するのかよくわからんが。

ともあれ、毎年各都道府県で大々的に実施されているらしく、例えば神奈川県庁サイトの知事コーナーでは、今年度表彰式の様子が公開されている。
それによると、「県民の警察官」表彰式は、「県民の生命と財産を守るため、第一線で日夜活躍されている警察官の中から、顕著な功績をあげた方を顕彰するものです。日ごろのご労苦に報いるとともに、県民と警察との絆をさらに強めることを目的に、産経新聞社の主催で行われています。」と紹介されている。
そして、
この表彰は、昭和36年に第1回が行われ、これまでに159人の個人と、特別賞を6団体、1人が受章されています。」とのことである。
なお、今年度の神奈川県の受章者は3名。他県の例を見ても、受章者数は年に2~3名くらいのようだ。全国の都道府県でこのくらいの受賞者がいるとしたら、累計受章者数はかなりの数に上りそうだ。

では、バッジを見てみよう。第一印象は、とにかくでかくて重い!縦横70mm以上ある。重さは不明だが、分厚い純銀製(裏面にホールマークあり)である。実に堂々たる一品である。
だが、残念ながら、あまりアリガタミは感じられない。中央の赤と白の七宝はおそらく日の丸を象徴しているのだろう。特に赤い部分は、七宝の厚みの違いからグラデーションがかかっていてなかなか美しい。
が、いただけないのは、警察のシンボルたる旭日章。別パーツとして取り付けられているのが何とも安っぽい感じ。後からとりあえずくっつけてみました、みたいな違和感アリアリ。せっかくのシンボルなのだから、ここはしっかりした旭日章にして欲しかったところである。もっと立体的に、重厚なシンボルに作れなかったものだろうか。
それと、周囲の桜飾りが何ともわびしい。葉の形が変な上に緑色が濃すぎて新鮮さがまるでなく、葉というより緑のツブツブにしか見えない。桜花の表現も平板でマンガチックすぎる。
中央に日の丸ドドーン!というアイディアは悪くないのに、その後が全然ついて行ってない感じを受ける。どこのメーカーか知らないが、若干技量に疑問を感じさせる。それとも主催者が制作費をケチったのか。

裏面には、
県民の警察官章  (個人名)殿 昭和58年6月16日 サンケイ新聞
とある。なお、「サンケイ新聞社」というカタカナ表記は、1969年から1988年までであり、今では「産経新聞社」という漢字表記である。
昭和58年というと、今から35年前のモノということになるが、神奈川県のサイトに載っていた画像を見る限り、ほぼ今も変わらない形のようである。
イメージ 2

今年度神奈川県の表彰の様子(左胸に県民の警察官章が見える)

【関連の既出項目】
日露協会会員章
※杉村商会製のバッジ。小さいながら多種の七宝で彩られた美しい花飾り。「県民の警察官章」とそのデキの差を比較してほしい。まあ比べるのも酷というものか。