徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 軍人遺族記章

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8月は広島・長崎の原爆、そして終戦の日と戦争を振り返るシーズンでもある。しかし、戦争終結から67年、遺族の高齢化は進行しており、今年8月15日の全国戦没者追悼式では、参列した遺族のほとんどが戦没者の子供。戦没者の妻は、参列者のうちわずか0.3%、父母は3年連続でゼロであったという。まあこれは仕方ないことであろう。全国の戦友会組織も会員の高齢化でどんどん活動休止状態になっている。

そんな季節に、今日は軍人遺族記章を紹介しよう。よく見かける記章で、これも例によってまとめ買いしたときについてきた一枚である。
授与対象は誰だったのか気になるが、昭和6年に制定された「軍人遺族記章令」には次のようにある。
まず、どんな軍人の遺族が対象となるかというと、
・戦地二於イテ戦死シタル軍人
・戦地ニ於イテ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル軍人ニシテ之ガ為ニ三年以内ニ死亡シタル者
陸軍大臣又ハ海軍大臣二於イテ前二号ニ相当スル者ト認ムル死亡シタル軍人
(第1条)

ただし、軍人が戦死した場合も、その家族は自動的には授与できるわけではない。遺族自身からの「願出」が必要である(第3条)。
その他、記章は右肋に佩用すること、佩用中は軍人遺族記章授与証書を携帯すべきことなどが定められている(第5条)。
しかも、授与されるのは遺族全員ではない。1人だけである。
授与される優先順位は、戦死した軍人の同一の家にいる妻、子、父、母、祖父、祖母、孫、と範囲及び順位が決められている。なお、該当する者がいない場合は、兄弟姉妹のうち最も年長の者、となっている(第7条)。ただし、授与者が佩用しない時には、これら家族の誰かが佩用してもよい(第8条)。

で、記章の制式もこの記章令で決められている。
章は、銀色桜花闇黒燻、紐は紫本絹である。
多くの遺族に渡す必要があったためか、ツクリは極めて簡単である。大量生産には向きそうな感じだ。
この軍人遺族記章令は昭和6年8月、ということは1931年だから、満州事変前。本格的な日中戦争には間に合ったわけだ。