徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 国慶節・建国10周年記念バッジ(1959年)

イメージ 1

中国のバッジが続きますが悪しからず。
なんといっても、今日は中国の国慶建国記念日)。「新中国」と言われてきた中国も還暦を過ぎ、、満64歳になったわけだ。来年からは、もう前期高齢者の仲間入りだ。

テレビで北京の様子を映していたが、どうにも大気の状態が悪い。この時期の北京は、「北京秋天」という言葉があるほどのさわやかなベストシーズン、抜けるような青空のはずが、晴れているのにまるで曇りのような天気。経済成長を遂げるのも難事だが、環境問題をクリアするのにどれほどコストと労力を要するのか、中国はこれから身をもって知るはずだ。まあこれは、中国だけでなく、インドやブラジルなどでも同じ話だけど。

そんなわけで、今日は国慶節バッジを紹介する。
「10」と大きく描かれた中に天安門を配置した、なかなか思い切ったデザインのバッジだ。建国10周年の記念バッジで、すなわち1959年の作である。

この頃の中国はどうであったか。
1957年には反右派闘争が起こり、第2次台湾海峡危機もあった。1958年には大躍進運動が始まった。国内産業は非科学的で狂信的な増産体制がしかれ、結果は大失敗、大量の餓死者を出すに至った。この経済政策の失敗を受けて、1959年には毛沢東国家主席を辞任。1959年にはチベット動乱と中印国境紛争が勃発した。こうして列挙するだけでも、この頃の中国は凄まじい時代であったと改めて思う。

しかし、この斬新なデザインのバッジには、そうした深刻さは一切ない。ついに建国から10年目を迎えたという祝賀ムードが感じられるだけである。

この後、毛沢東の失政による傷を癒し、経済を発展させるべく、劉少奇、鄧小平らが中国を率いていくこととなる。だが、中国の政治は、短い経済重視の時期を経て、やがて現代史に特筆すべき異常な政治闘争、文化大革命の時代を迎えることとなる。