徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

ポルトガル 市民防衛隊

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このバッジ、CDTではなく、DCTと読ませるらしい。
Defesa Civil do Território」の略。直訳すれば領土市民防衛隊とでもなろうか。ポルトガル独裁政権下時代の組織である。

ポルトガルでは、1933年に成立したサラザール政権が第2次大戦後の冷戦体制を巧みに生き延び、スペインとともにイベリア半島で独自のファシスト体制を維持した。1974年のカーネーション革命まで続くのだから、思えば奇跡のような話だ。しかし、長引くサラザール政権下で経済は低迷、工業化も遅れてポルトガルは西ヨーロッパの貧国となっていった。

このバッジも、サラザール政権時代の遺物。戦後の作、60年代頃のモノらしい。DCTの字面からして大政翼賛的体制下における民間準軍事組織という感じだろうかと想像している。この組織ももちろんカーネーション革命後に消滅することになる。。
赤、青の七宝のコントラストがよく映え、なかなか美しいバッジである。中央の緑のユリ十字が、ポルトガルらしい雰囲気が漂う。
七宝の表面は鏡のように研磨され、鮮やかな色彩が魅力の一枚だ。