徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 日本橋区協和会会員徽章(明治28年)

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今日も明治の徽章を紹介したい。

桜花型に赤い日章、浅目の彫りに小型のリボン、一見して古いモノであることはわかった。
日本橋 協和会」。
ひっくり返してみると、裏面には「明治二八年六月成」という手彫り文字があった。明治28年といえば、1895年、120年近く経っているわけだ。その割にはリボンが極めてキレイなのは、箱入りのまま保存されていたからだろう。退色も汚れも全く見られない。
表面上部に付いている赤い七宝は、丸く高く盛り上がっていて大きなアクセントになっている。これがないとごくつまらないバッジになってしまったことだろう。

日本橋協和会」とそのものズバリの名称があるので、正体は自ずと明らかなのだが、では一体これはどのような組織なのか。
調べてみると、日本橋区協和会という組織があったことがわかった。
明治26年の会則によると、
第1条 本会ハ日本橋区有志者ヲ以テ組織ス
第2条 本会ハ会員相互ノ交通ヲ親密ニシ業務ノ繁栄ヲ計り本市公共ノ経済ヲ講究シ自治征ノ完全タルヲ期ス
とある。
要は、日本橋区の有志による交流団体であったらしい。毎月の定例会と秋冬の懇親会が主な活動内容となっている。

会費は月5銭。現在の価値に換算するのは難しいのだが、うんと感覚的に言えば1,000円程度ではないか。さほど高いという気はしないがどうだろう。会員には区議会議員や商店経営者、学生まで幅広い。
会報では市議会情報や区内情報、その他コラムなどでなっており、あまり政治的な団体ではなさそうである。

なお、会則の第4条には、
入会者ハ会員ノ紹介ヲ以テ幹事ニ申込ム可シ本会ハ是ニ対シ会員票ヲ交付ス
とある。
この「会員票」というのが、この徽章のことを指すと思われる。