徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 第9代市川團十郎追悼講演記念章(明治44年)

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画像のバッジを見て正体を察することができる人は、よほど歌舞伎ファンであろうか。もちろん私にはなにやらサッパリわからないのだが、三升の家紋は、歌舞伎の市川家のものである。
裏面に、「明治四十四年第九世市川團十郎追善演劇 紀念」の文字があるので初めて正体がわかる。明治末の一品である。

成田屋の公式サイトによると、9代目市川團十郎は、江戸歌舞伎の近代化に尽力した人で、現代の歌舞伎にも大きな影響を与えたという。明治36年に、66歳で死去。
・・・ということは、亡くなったのは明治44年に行われたこの「追善演劇」から8年も前のことである。9代目の影響力のほどがうかがえる。

死去後(昭和31年)に市川團十郎を追贈された10代目を例外として、次にこの名跡を継いだのが11代目となる。昭和37年のことである。その間、市川團十郎名跡は途絶えたままだったのだ。
その次の12代は、平成25年に死去したばかり。13代の襲名はまだ未定だが、順調にいけば(いろいろとお騒がせ事件でも有名な)12代の長男、市川海老蔵に収まるのであろう。

そもそも、バッジと歌舞伎という組み合わせが異質なのだが、こういうモノが作られることもまた時代だなあと感じる。

バッジの材質は銀。三升の家紋を青と白の七宝で彩色したデザインはなかなか大胆で、いい味を出している。