徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

ブラジル リオデジャネイロオリンピックメダル

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直前までは今年がオリンピックイヤーであることなどほとんど感じられなかったが、始まれば始まったでテレビはすっかりリオデジャネイロオリンピック一色。私もテレビ観戦を楽しませてもらっている。しかし時差12時間はちょっとタイミング的にはよくないなあ。
このところこのブログでは毎回オリンピックメダルを紹介しているので、リオ五輪のメダルも取り上げることにしよう。

日本選手の成績では、ここまでの前半戦、特に男子体操の団体・個人総合の金メダルがなんといっても大きい。チームリーダーである内村航平は、体操団体で金メダルを胸にした感想を聞かれ、「めちゃくちゃ重いですねー!」と答えていた。
このメダル、いかなるものなのか。

製作はブラジル国家造幣局。メダルの大きさは直径85mm、重さは500gという。
前回の2012年ロンドンオリンピックのメダルは400gであった。「ロンドン五輪金メダルの重さは400グラム。直近5回の五輪金メダルの平均と比べ、2倍以上の重さとなる」といわれていたのだから、今回の500gがいかに重いかわかるだろう。ロンドンでも選手は口を揃えたように「メダルが重い」と言っていたものだ。
内村のメダルへの感想は、万感の思いというより、メダルが物理的に重かったのである。ペットボトル一本分を首に提げるのだから、そりゃ重いだろう。

どうもこの「メダルの巨大化・重量化」というのは最近のオリンピックの傾向らしく、2020年の東京オリンピックではどうなっちゃうんだろうと他人事ながら心配だ。急に軽くすれば安っぽく思われかねないし、かといってこれ以上の重量化も難しいだろう。
独立行政法人となった造幣局が製作に当たるのだろうか。

デザインについては特筆することはないようだ。表面は女神ニケ像、裏面はリオ五輪のエンブレムが描かれている。表面デザインはオリンピック憲章で規定されているのであまり工夫の余地がないのである。それで裏面をどうするかがデザイナーの腕のふるいようなのだが、今回はごくおとなしく無難にまとめたという印象である。
ちなみに、2008年の北京オリンピックでは、裏面に丸いヒスイをはめ込み、中国らしさをアピールするという斬新なメダルが登場した。

どうでもいいことだが、表彰台に上がった選手は、ぜひメダルの表面を確認してから胸にかけて欲しいと思う。メダルを裏返したまま国歌演奏を聴くというのもちょっと様にならない感じがするからだ。

デザインで言えば、今回印象的なのはリボンである。こちらもデザインは自由なので、毎回さまざまなデザインが登場する。ナショナルカラーの緑色を基調に、波形のカラフルな柄が織り込まれているようで、なかなかきれいだ。

リオ五輪のメダルのコンセプトは「環境配慮」らしく、メダル本体はリサイクル金属、リボンはペットボトル素材とのことだ。また、卵形木製のケースも用意されているが、こちらも持続可能森林資源木材使用である(ケースはいつ選手に渡されるのだろうか?)。

まあ、この変のセンスはいかにもオリンピックらしい気がする。キレイゴトといえば、キレイゴトであろう。オリンピック諸施設やインフラ整備でどれだけの廃棄物が発生し、環境負荷を増大させただろうか。環境問題を本気で考えるなら、オリンピックを開催する金で熱帯雨林の保護や育成に回した方がよっぽど効果的なはずである。
こんな小さなメダルの何割かをリサイクル原料で作ったからといって、どれだけ環境に優しいだろう?
・・・という気もするが、要はオリンピックはそれ自体がキレイゴトなのである。

オリンピック期間停戦を呼びかけたり、難民や貧困な途上国の選手を招待したりと、いかにもキレイゴトである。だが、それに目くじらを立てても意味がないのであろう。それはそれとして、この巨大スポーツイベントを楽しむべきであろう。

なお、パラリンピックメダルは、メダル内部に硬球が内蔵され、振ると鈴のように音を立てる仕組みになっていて、その音で金、銀、銅の判別ができるそうだ。点字でメダルに記された内容がわかるようになっているメダルはこれまでもあったと思うが、音を出すメダルというのは新しい。

うーむ、ますます次の東京五輪のメダルがどんなモノになるのか気になる。わが国徽章文化の英知を結集して、ユニークなアイディアを盛り込んだ力作を期待したい。