徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 日英同盟記念メダル

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ここ数日、吉村昭著「海の史劇」を読み返していた。ロシアバルチック艦隊の大航海と日本海海戦を中心に日露戦争を描いた大作である。

日露戦争を描いた小説といえば、司馬遼太郎の「坂の上の雲が有名であるが、両作品の趣はかなり異なる。特に、バルチック艦隊提督ロジェストヴェンスキーの人物像は全然違う。
坂の上の雲」のロジェストヴェンスキーは、ヒステリックで戦略家としての能力も低い、パワハラ上司のような描かれ方をしている。それに対して「海の史劇」では、人と打ち解けにくい人物ではありながら統率力と決断力ある有能な人物に描かれている。
また、「海の史劇」では、日本海海戦後のポーツマス講和会議、日比谷焼き討ち事件、旗艦三笠の爆沈事件、ロジェストヴェンスキーらの後日譚などが描かれ、日露戦争を経て日露両国をどうなっていったかが興味深い。
すでに何度か読んだ本なのだが、何気なく手にとって、惹きこまれてしまった。

さて、今日の一枚は日英同盟記念メダルである。「記念」の字を「紀念」と書いてあることからも、まず明治時代の作と推測される。
日本とイギリスが同盟を締結したのは1902年(明治35年)、満州朝鮮半島に進出しようとするロシアに対し危機感を抱いた両国は、軍事的に手を結ぶことにしたのである。締結から2年後に日露戦争が始まるが、日英同盟なくして日本はロシアを制することはできなかったであろう。

このメダルをよく見てみよう。
全体は矢尻型をしており、「同盟紀念」とある面に描かれているのはイギリス、その反面が日本を表現している。
さて、イギリスの象徴として描かれている人物は何か。長い髪をなびかせ、兜をかぶり盾を持つ、イギリスを擬人化した女神ブリタニアであう。盾にユニオンフラッグが描かれているのがヒントとなろう。
日本の象徴として描かれているのも、女神である。こちらはどちらかといえばオタフク顔の日本人らしい姿である。こちらは後光がさしていることからも、天照大神と思われる。勾玉の首飾り、神鏡を手にした太陽神である。

どちらもなんとも味わい深い姿をしており、古いメダルならではの趣と言えよう。