だが、東西冷戦構造へと世界が塗り替えられていく中で、日本も影響なし、というわけにはいかなかった。枢軸国としての日本軍を解体したアメリカは、日本を反共産主義の橋頭堡とするための武装化を画策するようになる。そのきっかけが朝鮮戦争であった。
中国も本当は建国直後の建設期で、「朝鮮戦争どころじゃない」状況だったのだが、朝鮮半島の将来は無視できない。「中国人民解放軍」を「中国人民志願軍」と名を変えて大軍を送り出した。正面切ってのアメリカとの対峙を避けるためで、せせこましくも切実な策と思わずにはいられない。
日本との戦争の傷がまだ癒えない中国にとって、日本の再武装化の動きは無視できないものであった。その証拠がこのバッジ。「抗美援朝」とは「アメリカに抵抗し朝鮮を助ける」の意味で、中国ではあの戦争を、朝鮮戦争なんて言わず「抗美援朝戦争」と呼ぶ。文字は毛沢東による。その下には、「反対美帝武装日本」=「米帝の日本武装に反対する」。
アメリカによる日本武装化、という指摘はある意味、正鵠を射ているといるかもしれない。