徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 「労働は世界を創造する」バッジ

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1949年に成立した中華人民共和国は、共産党が率いる共産主義国家としてスタートした。以来、ソ連からの社会制度や技術を取り入れ、大胆な新国家づくりに邁進してきた。

私が関心を持つのは、全くソ連とは文化的背景を異にする中国が、それをどう消化してきたのかという点なのだ。
「中国の文化と一緒に中華鍋に放り込まれた共産主義は、どのような中華風料理となって、中国人に賞味され、彼らの血肉となっていったか?」・・・と、まあくだけて言えばそんな感じだ。
それを味わう中国人は、なるほどこれが共産主義ってヤツかい、と味わったのだが、こちらから見れば、「それ、完全に中華風味でっせ!本場モンはちょっと違いまっせ!」と言いたくなることもしばしば(笑)。
仏教も、日本じゃあちこちにデカイ大仏ドドーンとおっ立てたりしてきたが、思えばあれも本場モンとは少し違う気がする。我々はそういう違和感は特に感じないけど、異文化思想を日本文化のなかで消化したら、ああいう(珍妙な)結果になったのだと思う。

なにはともあれ。
新中国建国直後の雑誌などを見ても痛感するが、国の主人は労働者人民だ、という主張が全面にみなぎっていることだ。表紙をババーンと大きく飾ったのは、労働に汗を流す、名もなき労働者であり農民であり、素朴そのものの風貌の解放軍兵士たちだった。
「どうだ、労働者ってカッコイイだろ!?」といわんばかりの雰囲気だ。もちろんそれはプロパガンダではあったが、時代の空気を反映していたことは疑えない。

さて、今日のバッジだ。
「労働は世界を創造する」。
労働の「労」の字が繁体字であることから、このバッジは、1950年代初期のものと思われる(余談だが、中国の文字改革運動はとにかくおもしろい!)。

麦穂が周囲を囲み、頭上に輝く共産主義の赤星。赤星は全地球を遍く照らし、大地には赤旗が高々とたなびく。左の農民は鎌を、右の労働者は鎚を掲げて共産主義の星のもとに団結するのだ。

いやあ、なんとも、有無を言わさぬ理想社会って感じがして、すごい。疑うことを知らない新国家建設の情熱まで感じる一品だ。
2人の服装がいかにも中国的なのもいい。