9月18日といえば、♪我的家~在東北松花江上~・・・九一八~九一八~♪の曲を条件反射で思い出す私だが、今年は満州事変75周年のことである。
政府の了承も天皇の勅許もなく、勃発した日本軍の策略により、中国東北部に「満州国」が誕生する。民族名である「満州」を、地名として用いるのは、あそこは中華民族の土地ではないという意味を含めてのことである。
乱暴に譬えれば、もしソ連が北海道を占拠したとして、北海道を「アイヌ州」とか呼び始めたとしたらどうであろう。・・・ちょっと乱暴な譬えにすぎるかな。でもまあそんな感じだ。
当然中国の立場にしてみれば、武力を背景にした謀略によって、広大な国土をもぎ取られたに過ぎない。中国の民族意識は高まるなかで、失地回復は悲願となり、日本に対する敵愾心は高揚していったのである。
さて、今回紹介するメダルは、先月北京で入手したものだが、実におもしろいものだ。
アイテムとしても興味深く、革製のベルトをリボンのような形に飾り、胸から吊すのである。造形も出来が良く、素晴らしい出来である。
「江蘇全省童子軍大検閲大露営記念章」とある。「童子軍」というのは、中国語で「ボーイスカウト」の意である。ボーイスカウトの格好をした少年がキャンプファイヤーを囲む図柄からもわかるだろう。
なんといってもおもしろいのが、彼らが囲むキャンプファイヤーの火から煙が立ち上り、中国国土の形(中華民国の国土である)をかたどっている。そして、よく見ると東三省(東北部)のところだけ、
「?」となっている。つまり、失われた国土を示しているわけである。
作製時期は不明ながら、資料的にもとてもおもしろいメダルである。
ああ、でもけっこう高かったんだよな、これ・・・(独語)
(画像は左が全体像、右がメダル部の拡大)