徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 平安遷都千百年祭紀念メダル

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今年は奈良で平城遷都千三百年祭が行われている。ナントみごとな平城京、平城遷都は西暦710年。
では、平安京の遷都はというと、鳴くよウグイス平安京。794年のことである。

明治維新後、首都機能を東京にとられた京都では、街の活性化を図るため、1894年(明治28年)平安遷都1100年祭を行った。桓武天皇を祀る神社として平安神宮が建てられたのも、この記念祭が契機である。
開催は、明治28年10月22日から3日間。現在も行われている時代祭も、この記念祭で行われたものが続いているのだそうだ。記念祭は大成功裡に終わり、京都が観光都市として生まれ変わる大きなキッカケとなった。百年後の今日から見て、この戦略は、大いに当たったと言えるだろう。

というわけで、今日の一枚は、平安遷都千百年祭紀念メダルである。「記念」ではなく、「紀念」という表記に時代を感じる。
記念祭の実行に当たっては、東京でも平安遷都記念協賛会が設立し、財政的支援などを行った。全国的規模で協賛会員は多かったと見えて、この紀念メダルはたまに見かけることがある。しかも、メダルにはリボンの色や大きさなどの異なる種類がいくつかあり、どうやら会員には(出資金額などによる)ランクがあったと見える。

メダルの形は宝鏡型、中央には「紀念」の文字、両側の植物は、右近の橘と左近の桜。京都の象徴として描かれたのだろう。
裏面には、「平安遷都千百年紀念祭協賛会 明治二十八年」という字が見える。
メダルの大きさに比べてリボンがやや太い感じがする。メダルの造形は優れ、出来は非常によい。100年以上前の作とは思えないほどだ。勲章と見間違えるような堂々たる黒漆塗りの箱に入っており、そのため保存状態も極めてよい。リボンの日焼けなどもなく、鮮やかなピンク色が残っていて、この状態の良さもまたすばらしい一品。
メダルのデザインは、あっさりしているというか、おとなしくて面白味に欠けるような感じも受けるが、日清戦争当時のメダルというのは、こんな雰囲気のものが多いのである。